人の健康の保護に関する環境基準及び水道水の水質基準等では、「ヒ素」の基準値を 0.01mg/l 以下と定めています。
日本では古くから井戸水等にヒ素が含まれていることが多く、その危険性への認識が「ヒ素」という言葉を身近なものにしています。ヒ素除去の方法はいくつかありますが、世界的な動向としては、比較的コスト負担が軽い吸着法が主流になりつつあります。
水質汚濁防止に係わる排水基準では、「ヒ素及びその化合物」の排水基準を 0.1mg/l 以下と定めています。
現在、日本国内で最も多く採用されている処理方法は、「共沈法」と呼ばれる方法です。これは排水に鉄やアルミニウムなどを添加し、ヒ素を抱き含めて沈める方法ですが、沈殿には大きな槽を必要とし、ヒ素を含んだ汚泥を大量に発生します。その他以下のような方法がありますが、いずれにおいてもADI法が有効であることを表しています。
【従来のヒ素除去法とADI法との比較(排水処理の場合)】※1
処理方法 | 共沈法 | 吸着砂ろ過法 | 逆浸透膜法 | 活性アルミナ法 | ADI法 |
ヒ素除去能力 | 普通 | 普通 | 極めて高い | 高い | かなり高い |
---|---|---|---|---|---|
処理後ヒ素濃度 | 0.08ppm | 0.05ppm | 0.001ppm | 0.01ppm | 0.002ppm |
設備費※2 | 100 | 70 | 110 | 80 | 60-70 |
ランニングコスト※2 | 100 | 40-60 | 90 | 60 | 20-40 |
処理水再利用 | 不可 | 不可 | 可 | 可 | 可 |
日本での実績 | 国内最多 | 国内あり | 国外最多 | かなり少ない | 国外増加中 国内実績あり |
総合評価 | △ | △ | ○ | ○ | ◎ |
※1 原水の水質(ヒ素濃度等)によって多少の変動があります。
※2 設備費・ランニングコストは共沈法を100とした場合の相対額(当社調査:2002年)
ガリウムヒ素化合物半導体の製造工程
デジタルデバイスの普及とともに、高速かつ高性能な半導体が求められる昨今、ガリウムヒ素化合物を使用した半導体が主流になりつつあります。このガリウムヒ素化合物半導体の製造工程におけるガリウムヒ素ウエハーの加工の際、大量のヒ素が排出されます。この排水の処理にもADI法ヒ素除去システムは有効であり、国内での実績もあります。