一般的に給水管の寿命は各種専門書には15年~25年と記されています。ただし、築年数・管の材質・水の使用量・水質などにより給水管内部の状況は様々です。現在、ビル・マンション等で主に使用されている給水管の材質は、硬質塩化ビニルライニング鋼管で、耐食性があり、管の内部に塩化ビニルのコーティング処理がなされているため、直管部分に錆が発生しにくい構造になっていますが、管と管の継手部は鉄部が露出し、錆が発生します。(右図参照)
現在は、錆防止のために継手部分にコア(樹脂製の突起物のようなもの)を内蔵し、鉄部が露出しないような対策がされていますが、コアが使用されていない建物は多く存在しており、又、コアを使用していても施工上の問題で、錆の発生する事例も多く見受けられます。
築18年
塩ビライニング鋼管継手部位
築5年
塩ビライニング鋼管継手使用
壁の中に隠れている給水管は、錆の発生・内部腐食・汚れの付着が日々進行しているのですが、実際の生活には支障がないため、赤水や水漏れのトラブルが発生するまで手付かずの状態です。
生活していく上で欠かせない「水」。トラブルが発生する前に、建物内の「水路」である給水管の現状を知ることが、マンション管理・運営には不可欠です。
保護管となるサヤ管の中に給水管を通す方法です。金属管のような、サビ、腐食の心配が不要です。内装リフォームにも対応しやすいシステムです。
赤水の写真
蛇口を開けたときに出る、赤(茶)色のついた水を赤水といいますが、この赤水が発生する主たる原因は、給水管内部に発生する錆です。このような症状が起きた場合、給水管内部の錆による腐食はかなり進行していることが予測できます。赤水は見た目に不快なだけでなく、飲料水としても不適です。早急に給水管の劣化状況を診断し、赤水対策を実施せねばなりません。
水道の蛇口をひねると赤(茶)水・青水・黒水・白水などの色のついた(濁り)水が出てきた経験はありませんか。濁り水は、ある日突然発生するのではありません。給水管は基本的に壁内に埋設しているため、日常生活上、視覚的に濁り水等の不具合が生じなければ気にかけることはあまりないと思いますが、年々劣化しているのです。
いずれの色の濁り水が出たとしても、人間の目で確認のできる状態であれば、水質検査では飲料不適合(項目:濁度)の結果が出ます。早急に設備改善を行いましょう。
主な濁り水の種類と原因 | |
赤水 | 給水管の鉄部が錆びてできる赤錆(現在、多くのマンションで使用されている配管) |
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青水 | 銅配管の銅(給湯管として最も使用されている配管) |
黒水 | 給水配管から溶出するマンガン、地下水中のマンガン(地下水利用の際に) |
白水 | 亜鉛メッキ鋼管のメッキ溶出、微細空気の気泡(現在、亜鉛メッキ鋼管はほとんど使用されていません) |
漏水の写真
水漏れの原因として、給水管の経年劣化もしくは施工不良が考えられます。水漏れが発生した場合、漏水箇所を断定し、漏水補修を行います。経年劣化が原因であれば、部分的な問題ではなく他の箇所からも連鎖的に漏水事故が頻発することが考えられます。給水管の寿命だと考え、建物全体の配管更新工事(配管替え)を考えましょう。
ストレーナーの詰まり等であれば簡単に解消できるのですが、錆による閉塞が原因であれば、根本的な原因を探る必要があります。他にもポンプ能力の低下・高置水槽の高さなど原因究明の調査が必要になります。
更新工事の様子
給水管の更新及び更生工事は、マンションの長期修繕計画項目にもあるように、外壁工事等と同様、大規模修繕の最重要項目の一つに挙げられています。
更新工事は現存の水道管を使用せず、新たに配管を新設する工事です。管が新しくなるメリットはありますが、莫大な経費がかかり、工期も長期化するため、できることなら避けたい工事です。
配管更新工事以外にも給水管延命処置として「錆を削る(更生工事)」「汚れを落とす(洗浄工事)」「腐食を防止する(防錆機器を導入し延命を図る)」など、赤水対策は多様化しています。給水管の劣化状況に応じ、費用対効果を長期的、計画的に精査し、対策を打つ必要があります。
サニックスは、20年以上にわたる、全国延べ100,000件を超える診断実績より、数ある給水管延命対策の中で、建物にとって最も効果的な対策を御提案しております。